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【カムイガタリ紹介⑦】カムイガタリ誕生秘話

  • 執筆者の写真: こたつ
    こたつ
  • 2025年12月25日
  • 読了時間: 11分

▼はじめに

 お金ない、時間ない、体力ないの限界突破状態ですが、なんやかんや年末の雰囲気にあてられて多少は頑張れているこたつです。こんにちは。


 今回は『想念神格RPGカムイガタリ』の誕生秘話を語っていこうかなと思います。もはやこれは紹介と言えるのか……。でもこういうのってファン待望!みたいな感じじゃないですか?こたつはこういうの無限に見たいです。カムイガタリにファンがいるかはともかく。まあそうでなくても、このタイミングで自らを振り返るのって大事だと思うんですよ。いずれ忘れてしまうことですから、それを記録するという意味でも。なので、今回は特に自分のために書くという側面が強いかもしれません。


▼オリジナルTRPGシステムを作るということ

 そもそもなぜオリジナルのTRPGを作ろうと思ったかですが、これの答えはシンプルです。私がTRPGを知ったその時、TRPGを遊びたい!と思うのと同時にオリジナルTRPGを作りたい!と思ったんです。それだけ。なので、小中学生の頃からちょくちょく考えてはいたんですよ。奇跡的にノートが1冊残っていたので晒しますか。

 

世界設定4文字で飽きてて草
パーセンテージロールなのに、2d6の確率を書いてるのは何??

 こんなのとか



 こんなのとかね

さてはSWが能力値6で割るのに納得できず10で割ってるな

 当時はSW無印、SW2.0、ロードス島戦記、T&Tくらいしか知らなかったので、その辺のモロパクリですね。頑張ってマシなページを探しましたが、それでも恥辱の極み。こんな感じで、ルールを完成させるでもなく、世界設定を考えるわけでもなく、遊ぶでもなく、TRPGシステムのカケラを幾つも考えましたが……TRPGを遊ぶ環境を得てからはそれもご無沙汰になってしまいました。


▼アルファストライク問題

 ソード・ワールド2.5やモノトーンミュージアムを中心に様々なTRPGを実際に遊ぶようになり、シナリオも書くようになって私は一つの問題にぶち当たります。それがアルファストライク問題です。アルファストライク問題とは、TRPGの戦闘において、PCが最初に最大火力を叩きつけることが定石になることによって生じる諸問題のことです(たぶん。自己流の解釈を含みます)。


 では、アルファストライク問題の何がいけないのでしょう。私は大きくわけて2つの問題があると考えます。


 1つ目。戦場に動きがなく、戦略性に乏しい戦闘になってしまうということ。例えば、「シナリオ1回」のような制限がある能力を使う適切なタイミングはどこかという問題を想定してみましょう。この問いに、「早く敵の数を減らした方がいいんだから初動で使うべき!」としか答えられないなら、それは能力を使うタイミングを考える余地のない、すなわちそれを考える楽しみに乏しいゲームだと言えるでしょう。


 ゲームの楽しみの一つは、自分で意思決定をすることにあると考えます。それが多ければ多いほどいい、とは申しませんが、意思決定の余地があるように見えるデザインにも関わらず、最適解が決まり切っているのはよいゲームとは言えないでしょう。


 そんなものはGMが上手く調整すればよい、というご意見もあるかもしれません。それは一理あります。ただ、GMが何かを調整する動機はポジティブなものであってほしい。調整しなければならない事項が常にあるなら、デザイナーがそれを予め潰しておくべきじゃないかな、と。


 私は《ファストアクション》が発動した冒険者たちの攻撃をどう受けるか考えるのはもう飽きました。高レベルのSW2系のGMを日常的にやっている方ならそれなりに共感してもらえると思います。


 2つ目。アタッカーのPC以外の活躍が損なわれるということ。初動でPCが最大火力をぶつけるのが最適解である環境を先鋭化させると、全員が火力を出せることが正義になります。そうでない盾役や回復役がいる環境だったとしても、GMが少し調整を間違えるだけで盾役や回復役が仕事をする前にボスが倒れてしまうことは珍しくないでしょう。皆様も結構心当たりあるんじゃないでしょうか?今日は味方を守るぞ!と意気込んだセッション、そもそも味方が危険に晒されることがなかった、みたいな。


 そりゃ、戦闘で活躍することがTRPGで一番大事なことではありません。TRPGに慣れている方は、出番がないならそれ以外のところで活躍しよう!という発想になれるでしょう。しかし、そんな経験をTRPG初心者の人がしたら?システム初心者の人がしたら?いくら周りが諭しても、想像した通りの楽しい体験とは言い難いのではないでしょうか。

(やっぱり初期作成プリーストが回復以外することないのよくないよ)


 繰り返しになりますが、想定される問題はデザイナーがなんとかすべきだと思います。シナリオライターやGMの力量でなんとかできる問題ではありますが、ゲームの構造上、そうした問題が起こらないように作成するのがベストじゃないでしょうか。


 と、いうことで。たぶん2、3年前くらいから私はこのアルファストライク問題をシステムレベルでなんとかしたいと考えていました。


▼神と人というテーマ

 1年前。『上の空文庫』というサークルを立ち上げたことで、オリジナルTRPGのルールブックを書くということが現実味を帯び、「アルファストライク問題の解決」を満たせるようなゲームシステムを本格的に考えることになりました。そこで、ちょうど当時遊んだことで(おそらく無意識的に)影響を受けたシステムがあります。それが『ケダモノオペラ』です。ケダモノオペラのPCは超人的な力を持ったケダモノで、人喰いです。そして、ケダモノが人を喰らうがゆえに様々なドラマが生まれていきます(1回でいいからプレイヤーやりたいなあ)。


 『カムイガタリ』も同じ構造を持っていて、ドラマを生むためには「人間」が必要だけど、PCは人の理を遥かに超えた「神(正確には神威)」なんですよね。そして、PCが明確に人間に関わる理由がある。


 そして、「神」というテーマはアルファストライク問題の解決と極めて相性がいい。なぜか。アルファストライク問題の解決には幾つかの手段があると思うのですが、そのうちの一つが、PCの火力を次第に上げていく、ということです。これを意図しているのかは定かではないですが、『ダブルクロス』や『ステラナイツ』など比較的多くのゲームシステムで採用されていると思います。これ、ゲーム的には凄く使いやすいメカニクスなんですが、なぜ火力が上がっていくのかを世界設定を踏まえて説明するのが結構難しいんですよね。リアル指向の世界観なら尚更。それを『カムイガタリ』においては、【信仰】が上昇するので神威の力も増す、という説明ができるんです。


 さあ、これでいよいよ『カムイガタリ』の重要なパーツが揃いました!……もっとも当時はその名前すら一切考えていませんでしたが。


▼神の威を借る、神威

 しかし、『カムイガタリ』のPCはなぜ神ではなく神威なんでしょうか。これ、私自身も理由ははっきり覚えていないのですが、自分を偽るみたいなのってかっこいいよね、そのギャップで苦しむのってエモいよね、みたいな感じだったと思います。つまりはシュミです。


 ……まあそれらしい理由を言うなら、私が描きたいのはあくまでも人間賛歌であって、神や宗教はそのオマケに過ぎないということでしょうか。人間が主で神が従属しているというこの構造が、そのまま世界設定に持ち込まれ、人間無くしては存在すら危うい神様という設定になったのだと思います。なお、人間が信じている対象が、人間がどう信じるかによってその性質を変化させるという逆説的な発想は、『〈物語〉シリーズ』あたりの影響を(無意識下で)受けていると思います。


▼神威とマガイの誕生

 ここまで考えた時点で2024年12月。いよいよ相棒にこの計画を話すときがやってきました。初コミケ出店のために梅田まで買い出しに2人して繰り出したある日のことです。確か長机に敷く布を買いにコーナンまで行ったけど、たどり着いたそこはコーナンPROで「なんか思ってたんと違う」と、もと来た道を引き返したタイミングでした。「こういうTRPGを考えていて……」とオールト君に話すとすぐに乗り気になってくれました。二つ返事というか、もはや返事すらしてなかったまである。彼は私より遥かにネーミングセンスがいいため、その日のうちに〈神威〉という言葉を生み出しました。


 そして、コミケの前日。お台場を観光しながらやっぱり話題は『神になるTRPG』(当時はこう呼んでいました)のこと。このシステム、エネミーをどう規定すべきかずっと考えていましたが、ここでようやく「神威が人間の祈りや願いを糧に成長するなら、人間の負の感情を糧にする化け物がいてもおかしくない」という発想にたどり着き、無事に〈マガイ〉が誕生します。


▼初回テストプレイまで

 それからしばらく作成が停滞していたものの、4月くらいから本格的に世界設定やルール、データのフォーマットなどを定め、具体的にスキルを作成していくことになります。ちなみに分担はメインクラスは半々、サブクラスはこたつが現人神、自然神、土地神、禍津神、オールト君が創造神、概念神、付喪神、眷属神を担当しています。当時はスキルが各クラス10個ずつありました。


 そして『想念神格RPGカムイガタリ』のタイトルをやっとこさ決定し、6月20日、サンプルキャラを使用したテストプレイを大学のサークルメンバー協力のもと行いました。当時の難易度はかなり厳つくて、一手ミスしたら敗北というノリでした。復活スキル《痛み分け》があるにも関わらずみんな【HP】0になってましたからね……。難易度に関してはテストプレイを重ねるうちに次第に緩和されることになります。


▼ルールの大転換

 それからも複数回、メンバーを変え、セッション形式を変え、ルールとスキルの調整を無数に繰り返しながらテストプレイを行っていきます。この途中でスキルを2倍に増やしました。メインクラスは主にオールト君が、それ以外は全クラス半々くらいの担当でスキルを追加したのです。以降、カムイガタリはβ版ver.2.0.0となります。ところが、9月半ばのテストプレイで現行のシステムを見直さねばならない事件が起きます。


 それは【ダメージ加算値】や【ダメージ軽減値】(現在の【装甲】にあたります)に関わることでした。PC全員でコンボを組んでこの固定値を極端に高め、マガイの攻撃はダイスを振らずとも一切通さず、【信仰】が低くとも確実に大ダメージを出せる構成が発見されてしまったのです。急遽、その中核であったスキルを削除、ないし弱体化しました。現在も残っているもので言えば《風乗り》や《天球の主》が該当します。どんな風に変更されたか想像つきますでしょうか。極悪コンボのほんの一部でしかありませんが……。


 ただ、我々はこの事態をスキルの調整で終わる問題ではないと考えました。『カムイガタリ』は、戦闘が進行するほど【信仰】が上がるため、PCの火力は上がりますが、他方でマガイの火力も上がります。神威の防御面は戦闘が長引くほど不利になるという構造を目指しているのです。しかし、当時はその値だけ常に受けるダメージを軽減できる【ダメージ軽減値】というパラメータがあり、これを持続的に累積させることが可能でした。


 また、【信仰】はあらゆる行為判定に影響したため、ディフェンダーの自動取得スキルである《障壁》も戦闘が継続するほど強力になりました。もちろん、マガイのスペックはそれを前提にしていましたが、少しの調整ミスで戦闘が長引くと神威が負けなくなる状態に持ち込める構造であることには変わりありません。


 そこで【ダメージ軽減値】を追加HPのような性質を持つ【装甲】に変更し、【信仰】は攻撃にのみ関わるように調整しました。もちろん、それに伴って非常に多くのスキルを変更、削除して、以降、カムイガタリはβ版ver.3.0.0となります。これは現行のスキルデータとほぼ同じものです。


▼入稿まで

 それからはスキルはどちらかと言えばミスチェックがほとんどでした。どちらかというと大変なのは、ルールブックの記述でしたね。テストプレイは結局我々がGMなのでルールを明文化していなくてもできてしまうため、しっかり書いていたわけではなかったんですよね。その他、世界地図を描いたり、ExcelデータをWordに挿入したり、目次を作ったり、索引を作ったり……はじめてばかりの経験でしたが楽しかったでs……うーん、楽しくはなかったですね() ハチャメチャに大変だった。


 それでも嬉しい瞬間はたくさんあって。特に今回はキャラクターイラストを外注したので、これが納品された日は嬉しかったですね。想像を遥かに超えるクオリティで、何度見てても飽きないし、作業するときは、別のウィンドウで開いて活力にしていたこともありました。そんな素敵なイラストを描いてくださったのはこちら!


キャラクターイラスト:ゆよ 様



 また機会がありましたらぜひお願いしたいと思っております。


▼おわりに

 そして、嬉しい瞬間といえばつい昨日のこと。『想念神格RPGカムイガタリ』のルールブック15部が我が家に届いたのです!ちなみにコミケ現地には35部届く手筈になっているのですが、コミケ当日に全部は頒布できないだろうという見込みで、一部は家に届くようにしています。現地で相棒と共に喜びを分かち合いたいので、まだ段ボールは開封していません。重さだけ先に味わいました。すんごく楽しみ。


 12/30をもってこの『想念神格RPGカムイガタリ』作成プロジェクトは一旦終了となります。二次創作のシナリオと違い、どれくらい頒布できるかは全く未知数なのですが、少しでも多くの方に遊んでいただけたら嬉しいなあと思っています。コミケ後の感想もブログで書くつもりなので、そちらもぜひお読みくだされば幸いです。


 そして、次回!いよいよ【カムイガタリ紹介シリーズ】も最終回です。『カムイガタリ』を作成するにあたって影響を受けた作品群について解説していきますよ!

世界観についてはちょっとこの記事でも触れましたが、ルールの部分でもたくさんの作品のアイデアを参考にしていますからね。


 では!

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