【推しゲーを語ろう】スロット×ローグライトの傑作、『幸運の大家様】
- オールト

- 7月2日
- 読了時間: 6分
《序章》ローグライト好きかい?
どうも、オールトです。
拙作『想念神格RPG カムイガタリ』が世に出てから早半年。忙しない春とゲムマが過ぎ去り、我々上の空文庫の活動もひと段落と相成りました。
そういうわけで、たまには雑談をば。
今回の話題は「ローグライト」。
『Slay the Spire』『Vampire Survivar』などの爆発的ヒットを筆頭に、多くのゲームが新たなジャンルの地平を切り開いてきました。
今回ご紹介するのは、シンプルゆえに奥深い、でもシンプルゆえに話題にならない、そんな隠れたローグライトの傑作、『幸運の大家様』です。
《第二章》シンプルってレベルじゃねえぞ
刮目せよ、これが『幸運の大家様』のゲーム画面だ!

シンプルすぎる
Yahoo!きっずのFlashゲームも驚きのあまりサービスを終了するレベルですが、そのゲームシステムは非常に洗練されています。
ルールは単純です。
①スロットを回す
↓
②出てきた絵柄(シンボル)に応じてお金が入る
↓
③新しいシンボルを追加する
↓
④定期的に家賃を払う。払えなければゲームオーバー
以上。追加要素はありますが、基本は本当にそれだけです。
スロットの回転は完全にランダムで、目押しで止める必要すらありません。しかし、この“それだけ”の中に、ローグライトというジャンルが持つ「中毒性の核」があります。
《第三章》「運ゲー」じゃねェ「ローグライト」だ!三択だがな
ローグライトとは「運を飼いならすゲーム」です。
ローグライトの本質は、単なるランダム性ではありません。本当に面白いローグライトは、プレイヤーにこう思わせます。
「今回は運が悪かった」
ではなく
「今の運を、もっと上手く使えたはずだ」と。
『幸運の大家様』は、まさにこの感覚を極限までシンプルな形で味わわせてくれるゲームです。
ゲーム開始直後、プレイヤーのスロットには大したものが入っていません。コイン、花、猫、真珠、チェリー。いかにもスロットゲームらしい、可愛らしくて無害そうな絵柄たちです。

改めて見てもシンプルすぎてビビるな……「ふーん、これが出たら1コインか」
「猫かわいいな」
「まあ適当に増やせばいいか」
最初はそんなノリで十分です。
しかし、、プレイヤーがシンボル同士のシナジーに気づき始めると、その様子は一変します。
《第四章》幸運の大家様:ライジング
ここからが、ローグライトの時間です。
「花とハチでコンボを狙うか?」
「猫にミルクを飲ませて即金を稼ぐか?」
「鉱石を入れて、あとで壊す方向に行くか?」
「いや、レアシンボルの抽選率を上げておくべきか?」
たった3択。
されど3択。
この3択が、毎回じわじわとプレイヤーの首を絞めてきます。なぜなら、「ゲーム序盤の選択が、ゲーム終盤で牙を剝いてくる」からです。
このゲームでは、終盤にならないとレアシンボルはほぼ出てきません。しかし、序盤を凌ぐためには低レアのシンボルを取ってでもスロットを埋め、金を稼がなければならない。そして序盤に取った低レアのシンボルは、ゲーム終盤になってもスロットに残り続け、コンボを阻害してきます。
しかし、その逆も然り。序盤でなんとなく入れたシンボルが、知らない間にアイテムや他のシンボルとシナジーを組み、気が付くとデッキの主軸になっていることもあります。
《第五章》最悪の展開 最悪の乱数 最高の判断
優れたローグライトでは、プレイヤーはランダムに翻弄されるだけではありません。毎回違う選択肢を見せられながら、その場その場で最もマシな未来を選び取っていきます。
完璧な選択肢など、そうそう出てきません。
欲しいものが来ない、今はいらない、あと1ターン早ければ。
それでもプレイヤーは考えます。
「この状況なら、こっちを取るしかない」
「このシンボルが来たなら、方針を変えるか」
「今回はこのビルドで行けるかもしれない」
この“予定通りにいかない中で方針を立て直す感覚”こそ、ローグライトの美味しい部分です。
『幸運の大家様』の面白さは、序盤の苦しさだけではありません。むしろ一番気持ちいいのは、自分の組んだ仕組みが急に噛み合い始める瞬間です。
最初は1コイン、2コインをちまちま稼いでいたはずなのに、ある時から急に数字が跳ね上がる。
「あれ? 今なんでこんなに入った?」
と思って確認すると、複数のシンボルやアイテムの効果が連鎖している。

コンボの例宝箱(破壊時50コイン)
×
魔法の鍵(破壊時算出コイン3倍)
×
交換装置(二つのシンボルの位置を入れ替え、算出コイン2倍)
↓
一撃300コインだぁーー!!!

この瞬間がたまりません。
今まで適当に並んでいるだけに見えた小さなアイコンたちが、シナジーという名の手を取り合い、スロット上で踊りだすのです。
牛が出したミルクを猫が飲み、魔女がその猫を強化する。太陽が花を照らし、卵が割れてオムレツになり、なぜかその横で泥棒が捕まっている。気づけば、家賃を余裕で払える金額が転がり込んでいる。
何を言っているのか分からないと思いますが、プレイすると本当にこういうことが起きます。そしてプレイヤーは思います。
「俺、天才かもしれない」
もちろん違います。
だいたいゲーム側が気持ちよく勘違いさせてくれているだけです。でも、その勘違いこそがゲームの快感です。
《第六章》血を吐きながら続ける楽しいマラソン
ローグライトの快感は「リスクを承知で命を賭け金に乗せる」(太字)その瞬間にあります。ローグライトにおける強いビルドは、少し危ういくらいが面白いです。
最初から最後まで安定して強いだけのビルドは、もちろん楽しい。でも記憶に残るのは、だいたいもっと歪なビルドです。
「このシンボルが出れば勝ち」
「でも出なければ終わり」
「あと1回だけ家賃を越えられれば完成する」
「頼む、ここで来てくれ」
このギリギリ感が、ローグライトをただの作業にしない。『幸運の大家様』は、家賃という非常に分かりやすい制限時間を置くことで、プレイヤーに常に決断を迫ってきます。
将来性のあるシンボルを取るか。
今すぐ金になるシンボルを取るか。
コンボのために弱いシンボルを残すか。
安定のために尖った構成を諦めるか。
この判断が毎回悩ましい。しかも、悩んだ末に負けた時でも、不思議と納得感があります。
「いやー、あそこで欲張ったな」
「あのアイテムを取ったなら、もっと早く方向転換すべきだったな」
負けた理由が、ちゃんと自分の中に残る。『次の自分』に繋いでくれる。
これこそ、ローグライトが持つ魔力です。
《終章》そして全てのローグライトに、ありがとう
『幸運の大家様』は、見た目だけで言えば正直地味です。
豪華なアニメーションがあるわけでも、壮大なストーリーがあるわけでもありません。
派手な必殺技も、美麗な3Dモデルもありません。
しかし、その削ぎ落とされた画面の中に、「運命を選択する楽しさ」がある。
その判断が、数分後の自分を助けたり、逆に首を絞めたりする。
そうして、ローグライトの名作は、例外なくこの一言を引き出します。
「もう1回だけ」
もしこのゲームに興味を持っていただけたなら、ぜひsteamかswitchか、あるいはスマホ版で遊んでみてください。セール中なら600円とかで買えると思います。そして、プレイする際はお気を付けください。幸運の女神と幸運の大家様は、いつでもあなたの甘えた判断を嘲笑いにやってきます。
《追伸》
各章のタイトルの元ネタが全て分かったあなたは、インターネットのやりすぎです。少しタイムラインを追うのを止めて、幸運の大家様を遊びましょう。




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