TRPG対談「エネミーのHPをこっそり変更してもいいの?」
- こたつ

- 4月25日
- 読了時間: 8分
どうも、こたつです。
えらく久しぶりになってしまいました。その理由は後で説明するとして、今回は今までとは趣向を変えたコンテンツをお届けします。その名も「TRPG対談」企画!対談というと偉い人同士が話しているイメージがありますが、我々アマチュアがやってはいけないということはないでしょう。
今回のテーマは、半年前の私のポストから引っ張ってきました。
もしかしたらピンと来てない方もいらっしゃるかもしれないので、簡単にご説明をば。多くのゲームシステムには「ヒット・ポイント(HP)またはそれに類するパラメータ」が実装されています(以降まとめてHPと呼称します)。このHPはプレイヤーキャラクターのみならず、戦闘をする相手であるエネミーにも設定されています。今回議題にしたいのはエネミーのHPの方です。
さて、このエネミーのHPは必ずしもPLに開示されているとは限りません。例えば、『ソード・ワールド2.5』であれば魔物知識判定に失敗すれば、魔物に設定されているHPが不明なまま戦わなくてはなりません。他にもHPを開示しないことが標準的なゲームシステムもあれば、その扱いについて言及しておらずGM次第のゲームシステムもあります。
HPを開示しないことの利点としてよく挙げられるのは、GMがゲームを裏から調整することができる、というものです。例えば、F.E.A.R.社の公式youtubeチャンネル、ふぃあ通TRPGチャンネルの動画『【TRPG相談】戦闘で強いPCとイメージ優先のPCが混在する卓でのGMの対応法』(12:41~)には、テクニックの一つとしてそもそもエネミーのHPを定めないということが挙げられています。
GMの想定を超えたキャラクターが一人でエネミーを倒してしまい、他のPCの活躍機会を奪ってしまう……。あるいは思ったよりもエネミーが強すぎてPCを全滅させてしまいそうである、セッションの予定終了時刻に間に合いそうにない……。こういった問題は「HPを開示せず、GMの都合の良いように増減させる」ことで解消することができます。これをより明確に記述するなら以下のようになります。
GMがエネミーのHPをこっそり変更する行為は、以下の目的のために行われる。
(a)強すぎるPCが、他のPCの活躍機会を損うことを防ぐ
(b)PCが戦闘で敗北することを防ぐ
(c)セッションの終了時刻が超過することを防ぐ
しかし、私はこのテクニックに対して懐疑的に思っています。そこで、前述の私のポストに戻るわけです。GMがHPを操作してよいなら、PLも操作していいのではないか?たくさんの種類のバフを計算して100点くらいのダメージを出せるシステムなら、おそらく与えるダメージを10か20誤魔化すことは容易いでしょう。もし、他のプレイヤーから指摘されたとしても「勘違いしてた」などと言えばその場は丸く収まるはずです。しかし、そのような行為はどうも正しくなさそうに思われる。では、GMがHPを操作する行為とPLが与えるダメージを操作する行為にどのような違いがあると言うのでしょうか。そこに違いがないとすれば、GMがHPを操作する行為は正当化できないのではないか……。

さて、私の主張を固めたところで、ようやく対談に入っていきましょう。ではオールトさん、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。
さて……想定反論としては「GMは全体のバランスを見ることができるが、PLはそうではない。そのためGMがHPを操作することは正当化できる」というものだ。

GMが見える情報とPLが見える情報には大きな差がある。だから、ゲームを調整するという目的をよりうまく満たすことができるのはGMであり、ゆえにGMにHPを操作できるという特権が与えられている、という考え方だ。
でもGMが人である以上、どうしても私情が入るんじゃないかと思うよ。

そうだね、むしろそうした私情を排するためにルールがあると思う。
あと気になるのは、先に述べた(b)PCが戦闘で敗北することを防ぐという目的についてだね。

TRPGの戦闘の勝利が「負け得る戦いだったことを制した達成感」によって価値を持つ可能性がある。そうした場合、負ける可能性を排するのは、そうした達成感を損なうと考えられる。

「負ける可能性を排すると達成感が損なわれる」については間違いではないが、気になるところ。なぜなら、TRPGの戦闘は負ける可能性が既に大きく排除されているからだ。TRPGは基本的にPLが一発勝負で勝利する前提で戦闘が組まれている。

それはつまるところ、「気を抜けば(あるいは大きな不運があれば)負けるかもしれない緊張感のあるゲーム」であっても、「勝つか負けるか分からないゲーム」ではない。うっかりピースを無くさなければ必ず完成するジグソーパズルのようなものだ。
彼は本当にたとえ話が上手いと思う

どちらかというと、『ルールが適切に執行されないこと自体が、達成感を損なっている』ような気がする。ルールに従ってパズルを組み上げているのに、「ピース足りてないけど完成です!」などと言われたら、「俺たちは何のためにルールを守ってマジになってたんだ」と言われても仕方がない。

なるほど、いい例えだね。
これは勝ち負けに限らず、戦闘を早く終わらせる事例においても同じことが言えそうだ。

ただ、これが議論に上がるような問題になっているのはルールを途中で変える(あるいは破る)ことをGMがバレずに執行できるからだ。不思議なことに、こうした“不正”は暗黙の了解どころか一般的なGMのテクニックとして広がっている。

つまり、我々が遊んでいるゲームはGMの都合によっていとも簡単にゴールポストをずらされてしまう遊びであることを受け入れなければならないように思う。

僕はそれに賛同しかねるので、GMがズルできないシステムの方を好むし、例えば『モノトーンミュージアム』をオフラインセッションでやるときもGMが使用する逸脱能力の数は誤魔化せないようにカードを作ったりして、自分が公平な裁定者であることをアピールしたりするわけだけど 。

エネミーの逸脱能力をGMが手札として持っておくことで、PLはあとどれだけの逸脱能力が使われるか把握できる。
GMがバレずに執行する、という話なら、『シークレットダイス』にも同じことが言えそうだ。

シークレットダイス、自分では使わないなあ。だから推測も混じるんだけど、シークレットダイスは(1)恐怖を煽るためだけの意味のない判定、(2)エネミーの攻撃判定など極端な結果が出ると困るときの判定、という2つに大別できると思う。

(1)に関しては、確かに一時的には効果があるだろうが一度肩透かしをくらってしまえば、それ以降常に「ただの演出じゃないのか?」という疑念がPLの頭によぎるようになるだろう。

卓が終わった後の感想戦で「あのダイスロールはなんだったの?」と聞かれる可能性があるよね。ここで「特に意味はなかったよ」と言われてしまうとその時点で“魔法が解ける”と思う。

同じような話で、どの探索箇所を選んでも出てくる情報は一緒、みたいなシナリオは度々目にする。確かに遊んでいるときは何も問題はない。まさか提示されている選択肢が選ぶ必要のない結局同じものだとは思わないからね。ただ、種明かしをされるとやっぱりがっかりしたな。

(2)については……正直なぜそんなことをするのか理解に苦しむねえ。嘘をつきます!と堂々と宣言しているようなものだけど。

GMであることへの信頼を担保に嘘をつくマスタリングは、その人や同卓した人の今後のセッションに悪影響を及ぼしかねない、リスキーな行為だと思うね。

これらの問題を理解するにあたって大切なのは、TRPGにおいて『GMとPLは共有されたルールに従ってゲームを執り行う』という前提があるということだと思う。シークレットダイスもGMによるHP操作も、その前提をちゃぶ台返しするものだ、ということだね。

難易度調整のためのHP操作にしても、GMが勝手にやるか、『EASYからVERY HARDまで、難易度調整できるけどどうする?ちなみにこのメンツならHARDくらいが適正かな』ってPLに聞くのとでは納得感が全然違うという話だ。

『ログ・ホライズンTRPG』で採用されているルールだね。あれは僕も好き。
まとめに入ろう。GMがHPを操作する行為は、幾つかの問題を解消する手段として有用であることは間違いない。

ただ、そのリターンを得るためには相応のリスクが伴う。それを自覚せずに安易にこの手段を執るのはおすすめできない。もし困るようなことがあれば、PLにぶっちゃけて相談してみるのがいいだろう。

「このままいくとPCが勝てないかもしれないんだけど、どうしよう。ちょっと手入れていい?」みたいな感じで。GMもゲームの参加者なんだからゲームを楽しむ権利があるはずだし、その調整は必ずしも一人でやらなければならないことはない。

さて、それらしい結論が出たところで対談は終了としよう。ありがとうございました。

ありがとうございました。
さて、いかがだったでしょうか。お楽しみいただけたでしょうか?もし、何かご意見がございましたらコメントなどでお伝えくださると嬉しいです!
余談ですが、ディスコードに「対談スレッド」を設けて行っていたのですが、まあ~全然進みませんね!世には「置き卓」なるものがあることは知っていたので、そのノリでできると思ったんですが……。我々には向いていなさそうです。そんなわけで、投稿の期間が随分開いてしまいました。
さらなる余談ですが、『想念神格RPGカムイガタリ』はHPを開示するゲームシステムですが、(a)強すぎるPCが他のPCの活躍機会を損うことを防ぐ、(b)PCが戦闘で敗北することを防ぐ、(c)セッションの終了時刻が超過することを防ぐという解決策をいずれも内包するように作っています。やっぱりゲームシステムレベルで対策を講じることができればそれが最良だと思うんですよ。
そんな『想念神格RPGカムイガタリ』はゲームマーケット2026春でも頒布予定です!ぜひお立ち寄りくださいませ!
では!




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